milano salone 09' -Toshiba installation-

Monday, 4 May 2009 | |




Toshiba installation by takram design engineering + Ryo Matsui Architects Inc.
http://www.takram.com/portfolio/Overture.html

空間に無数に吊り下げられた電球型のLED。触れると人間の心臓の鼓動のような振動が手を通して伝わってくる。白砂利を敷き詰めた空間を歩くと、それを追うように床をあかりが照らしてくれる。アーチ状の鏡は別世界、または新世界への入り口。そしてあかりの無限の可能性を暗示しているよう。

祐さんのお友達でタクラムの一員である渡邉さんと建築家である松井さんらが、コンセプトの背景や技術的な裏話を丁寧に説明してくださった。使用しているものにすべて理由があり、ここでも日本のデザインにおける質の高さが感じられた。メンテナンスを考慮した室内及びオブジェクトの設計(マグネット、ノック式、フェイクフィラメント、引く動作=リセット・・・)、400個ほどある電球型LEDの高さの配置の意味(成人の平均的な心臓の高さが最も多い)などなど、意識の高さと仕事のクオリティーの高さに感心させられた。

中でも、「白熱球からLEDへの大きな転換期の今、古いものから新しいものへみんなが無理なく移行できる手助けのような、ある種クッションのような存在になれたら・・・」というお話が非常に印象深かった。

「新しいものを嫌わないように」

これはデザイナーにとってとても大事なユーザーに対する配慮のような気がした。
新技術、ハイテクノロジー、日々進化する中で、その速さについていけない人々がいる。デザイナーとて同様である。同じ一生活者だ。もう十分だ、今のままでいいじゃないか、なんて言葉は最先端の技術進化の前では相手にされないのかもしれない。でも人のこころはそうもいかない。多くの人が昔を懐かしみ、自分の子供時代を振り返っては、あの頃も良かった、と思いにふける。

白熱灯は否応なくLEDにとってかわられるだろう。企業が、政府が生産の中止を下すのだ。環境のため、という理由はあるにしろ、地デジでもなんでも、次々と出てくる新技術にただただ従って購入してゆくしかない消費者に対して、ただこちらの都合で押し付けるのではなく、共に歩む姿勢を見せるということはそれなりの意義があるのだと思う。

お忙しい中、丁寧に説明をしてくださったタクラムのみなさん、渡邉さん、松井さん、どうもありがとうございました。そして祐さんも貴重な時間を作ってくれてありがとう。サローネの中でも特に印象に残る展示となりました。

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